男性更年期障害について

更年期障害は女性だけがなるもの。昔はこう考えられていました。
しかし、近年では男性も更年期障害にかかることが知られるようになりました。

更年期障害をわずらった私でしたが、まさか夫もなってしまうとは思ってもみませんでした。
日本に潜在する男性更年期障害をわずらう人の数は600万人とも言われているそうです。

このページでは、私や夫の体験を踏まえて、
男性の更年期障害の仕組みや対処法について読み解いていきます。
少しでも、皆さんの参考になれば幸いです。

目次

AMSスコア ~これに当てはまる人は要注意!~

そもそも男性更年期障害の症状がどんなものか知らない。
女性と何が同じで、どうちがうのかわからない。

男性の更年期障害にはAMSスコアというものがあります。
まずは、あなたやご家族の症状がこれに当てはまるかどうか、確認してください。

症状 なし 軽い 中程度 重い 非常に重い
点数

AMSスコアの評価

17~26点 異常なし
27~36点 軽度
37~49点 中程度
50点以上 重度

これはあくまで、問診評価です。
点数が低くても、2つ以上当てはまれば男性更年期障害の可能性も考えられますので注意が必要です。

夫はイライラが先に来ました。
仕事で疲れているのだろうと、最初は気にしていませんでした。
ある日、夫の寝間着を洗濯しようとしたところ、 寝汗でぐっしょりと濡れていたことに驚きました(ちなみに真冬のできごとです)。
私が更年期障害のときと同じような症状だと、ここでようやくピンと来たのです。

なぜ男性も更年期障害になるのでしょう?

社会性ホルモン:テストステロン

男性の精巣では男性ホルモンであるテストステロンが作られます(テストステロンは卵巣や副腎でも少しだけ作られます)。
テストステロンは性欲をつかさどり、生殖器やひげ、体毛といった二次性徴の発育に影響を与えます。
また、筋肉や骨格を作る際にも重要な役割をにないます。

もうひとつ、特徴のある点として、テストステロンは社会性ホルモンと呼ばれていることです。
テストステロンは脳の認知能力に関係していて、決断力や判断力を高めると言われています。
これは社会の中で行動するうえで重要で、自己主張が強い人はテストステロンが多いとも報告されています。
そして、驚くことに社会に出るとテストステロンは増加し、家庭に帰ってくると減少するそうです
これを知ったとき、妻の身としては複雑な思いでした。

少なくなるテストステロン

このテストステロン、20代から徐々に減少していくようです。
減少する理由は、パーキンソン病などの病気がきっかけになることもあるそうですが、 主な原因は社会生活のストレスや不規則な生活らしいです。
またメタボリックシンドロームの診断を受けた中高年の男性は、顕著にテストステロンの減少が見られたという報告もあるそうです。

夫はストレスと肥満、両方に当てはまります。
夫は証券会社の管理職についていますが、常日頃から部下の扱いに苦労しているようです。
また、おなかも大分ぽっこり出ています。

ところで、テストステロンの減少には個人差があるそうです。
はたらき盛りの40~50歳の男性よりも、定年をむかえて仕事から解放された60歳以上の男性のほうがテストステロンの分泌が多いという報告があるそうです
それくらい、仕事のストレスは大変なんだと専業主婦をしている私は夫に対して申しわけない気持ちが生まれました。

男性更年期障害、放っておいてもよくならない!

男性更年期障害のことを調べていて、1番ショックだったのは、 女性と違って放っておいてもよくならないということです

生活習慣病や骨密度減少による骨折の増加などは女性更年期障害と同じです。
また、テストステロンは眠っているあいだに出るため、 症状のひとつである不眠になると、悪循環におちいってしまうそうです。
うつ状態が進行することによって、自殺の危険性が上がるとも言われています。

ともかく、無視できないことだらけで、 私は夫の症状をなんとかしようと奮闘しました。

男性更年期障害を軽くするにはどうしたらよい?

夫の症状がよくなるために、いろいろと苦労しました。
何せ、夫は病院にも行きたがらないし、 生活習慣の見直しにも消極的なのです。
試したことは、以下の方法です。

  • ・適度な運動をする
  • ・食生活を見直す
  • ・禁煙する
  • ・飲酒をひかえめにする
  • ・ストレスのない生活を心がける
  • ・お医者さんにかかる
  • ・サプリメントを試す

今、夫は病院にも通って、あるていど症状がよくなっていますが、 まだまだ時間がかかるそうです。

皆さんにはできることなら、 更年期障害のきざしが見えたら、早めに行動してほしいと思います。

適度な運動をする

適度な運動は男性の更年期障害に有効だと言われています。
ランニングなどの有酸素運動は骨密度や筋力の低下や肥満を予防するのに効果的なようです。
肥満の中年男性が有酸素運動を行うと男性ホルモンが増加したという報告があるそうです。
何より、楽しみながら運動することでストレスの発散にもなります。

残念なことに運動をするという選択肢に、夫はまるで聞く耳を持ちませんでした。
もともと、スポーツにそれほど興味がない人ですから無理はないでしょう。
今は、少しだけ考え直して、通勤で使う駅でなるべく階段を使うようにしているようです。

食生活の見直し

バランスのよい食生活を心がけることは更年期障害を軽くするうえで重要です。
ミネラル、食物繊維、ビタミン類や抗酸化物質を多く含む食材を積極的に摂ることによって、健康維持に期待が持てます。
健康的な食生活をおくるために『まごわやさしい』という語呂合わせがあります。
これは、7つの食材の頭文字をとった言葉で、これらを使って料理を作ると自然とバランスのよい食事になるというわけです。

豆(大豆、あずき、黒豆などの豆類)
たんぱく質やミネラルが豊富です。
ゴマ(ゴマ、アーモンド、ピーナツなどの種子類)
たんぱく質、脂質、ミネラルが豊富です。抗酸化物質も含みます。
わかめ(わかめ、ひじき、昆布などの海藻類)
カルシウムなどのミネラルが豊富です。
野菜(ほうれん草、トマト、キャベツなどの野菜類)
カロテンやビタミンCなどの抗酸化物質が豊富です。
魚(青魚やシャケなどの魚類)
DHAやEPAなどの魚油が豊富です。
しいたけ(しいたけ、しめじ、エリンギなどのきのこ類)
食物繊維、ビタミン類、ミネラルが豊富です。
いも(じゃがいも、さつまいも、里芋などのいも類)
炭水化物、ビタミンC、食物繊維が豊富です。

また、体内の男性ホルモンを増やす食品があるというので、 自分なりに調べて取り入れてみました。

食材名 概要
たまねぎ 含硫アミノ酸が男性ホルモンの合成をうながす
にんにく 古くから性力増強の効果が知られている
アボガド 男性ホルモンの分泌を活発にする
オクラ ムチンが疲労回復、滋養強壮に役立つ
牡蠣(かき) 男性の性機能を保つ亜鉛を含む

夫の更年期障害をうたがいはじめたころ、 私の更年期障害の症状は落ち着きはじめていたので、
私には食事に気をつかう余裕がありました。

夫の症状の改善に少しでも協力できたことが幸いです。

禁煙する・飲酒をひかえめにする

タバコは様々な病気のリスクになりえると言われているので、可能な限りやめることが大切です。
また、飲酒を少量に控えた場合、 男性更年期障害の発症リスクが低下するという報告があるそうなので、やはり重要なのだと思います。
夫はタバコは吸わないのですが、付き合い上、飲酒をひかえることは難しいようです。
それでも、飲む量を少なくしていこうとは考えているようです。

ストレスのない生活を心がける

この方法が1番難しかったです。
夫は管理職という立場上、ストレスとは切っても切れない関係だからです。
趣味を楽しんだりするといいのでしょうが、 夫はそれほど趣味が多くありません。

それよりも、私が気をつけたことは、 あまり更年期障害、更年期障害と言って、夫にプレッシャーをかけないことでした
夫の更年期障害を気にするあまり、かえって悪化させてしまえば本末転倒です。
夫は自分が更年期障害だと認めたくなかったようです。

ともかく、あせって説き伏せたりせず、夫のつらさに寄りそいました。
私自身が更年期障害にかかった経験も役に立ったように感じます。

お医者さんにかかる

生活習慣を見直しても改善が見られない。もうすでに症状が進んでしまっている。
ここまで来てしまったなら(あるいは早いうちに)、やはり医療機関にかかったほうがいいでしょう。
泌尿器科が当てはまりますが、男性更年期障害自体が認知されはじめて間もないため、 治療をしているところとそうでないところに分かれます。

泌尿器科以外であれば、男性更年期外来のある総合病院か、メンズクリニックが該当します。
医療機関に行かれる際は、あらかじめ連絡をとるなど診察や治療内容に関して確認をとってください。

診察は大体、以下の流れで行います。

  • 問診(AMSなどを行う)
  • 血液検査(血液中のホルモンの量や治療に関係してくる前立腺がんの可能性を検査します)

血液検査ではほかに、血糖値や血中脂質など内科的数値を調べます。
これは、きちんとした治療を行うためにからだ全体の状態を調べることが必要だからです。
また、うつの可能性があれば、通常の問診に加えて心療内科的診断を行う可能性もあります。

診断が確定したら、おもに以下のようなことをします。

  • ・ホルモン充填療法
  • ・漢方療法
  • ・その他の薬物療法
  • ・カウンセリング・心理療法

具体的にどんなことをするのかわからないからこわいし、行きたくない。
お医者さんにかかるのをためらっている人は、こんな理由があるのではないでしょうか?
夫もそうだったようです。
なので男性更年期障害の治療がどんなものか、ここで簡単に説明しようと思います。
ただし、ご自身の健康状態や医療機関の治療方針などによって内容は変わってくると思いますので、最終的には医療機関とよく相談した上でご検討ください

ホルモン充填療法

注射や塗り薬などで男性ホルモンを補う、あるいは男性ホルモンを作るのをうながす性腺刺激ホルモンを注射する方法がとられます
日本では、現在、テストステロンの注射のみ保険が適用されています。
効果には個人差があり、中には効果が見られない人もいます。
また、悪心や嘔吐などの軽いものから、まれに多血症などの重篤な副作用があります。
前立腺がんをわずらっている人は病気が悪化する可能性があるので行ってはいけません。
前立腺肥大症の患者さんには注意して投与する必要があります。
お医者さんとよく相談した上でご検討ください。

漢方薬

イライラする、疲れが取れない、などの何となく体調が悪いという自覚症状にしばしば適用されます
からだ全体の調子を整えることで、更年期障害を改善していきます。
ホルモン充填療法との併用が可能です。
ホルモン充填療法よりも抵抗が少ない印象がありますが、医療機関によっては保険適用される場合とそうでない場合があります。
また、副作用や禁忌がありますので医師とよく相談した上でご検討ください。

その他の薬物療法

イライラやゆううつな気分などの症状に応じて、抗うつ薬や向精神薬などを用います。
また、EDの症状があれば、ED治療薬を用いることもあります。

カウンセリング・心理療法

男性の更年期障害はストレスが関係する場合が多いそうです。
職場や家庭環境を改善するためのアドバイスやライフスタイル改善の支援を行います。

夫の体験

更年期障害を意識しはじめたころ、夫は会社の知人に自分の悩みをもらしたそうです。
すると、その方も同じように悩まれていたようです。
ただし、その方は以前に前立腺の触診を受けたことがあり、とても痛い思いをしたそうです。
更年期障害の診察で同じようなことがないか心配で、なかなか病院に行けなかったのこと。

お医者さんにかかることに少しでも不安がありましたら、
ご自身が納得のいくまでお医者さんと相談すべきです。
そして、診察内容や診断結果に不満があれば、セカンドオピニオンを利用するのも手でしょう。

サプリメントを試すうえで注意してほしいこと

最初、夫は病院に行きたがらなかったので、それ以外の方法を模索していました。
そのときに、いくつかのサプリメントが症状の緩和補助に期待できるという内容を見つけました。

これらは好適な報告がされていますが、副作用や禁忌もあるようです。
そのいくつかを紹介しますが、服用するさいには注意書きや成分表をよく読んで、
自己責任の範囲で利用されること
を願います。
不安でしたら、医師や薬剤師など、専門家の意見を取り入れられることもお勧めします。

ソフォン

タイのメコン川流域に自生する植物の根からとれるエキスのサプリメントです。
テストステロンの原料となるホルモン『DHEA-S』に働きかけるとされています。
ホルモン充填療法との併用や前立腺がんの危険性を否定できない場合の服用は推奨できないようです。

ムクナ

熱帯アジアを中心に広く分布するムクナという植物由来のサプリメントです。
ムクナには、やる気や集中力に係わるドーパミンという物質の材料『L-ドーパ』が多く含まれています。
パーキンソン病の薬と併用すると効果が出すぎて不随意運動、低血圧、幻覚が起こる可能性があります。

アメリカ人参

北アメリカ産の薬用ニンジンが原料のサプリメントです。
アメリカ人参にはジンセノサイドという物質が含まれていて、 これが中枢神経の興奮をおさえて、緊張緩和、リラックスさせる機能に働きかけると考えられています。
ですが、ジンセノサイドは興奮に働きかけるという報告もあることから、注意が必要です。

ガラナ

ブラジル原産の果実ガラナ由来のサプリメントです。
ガラナの種にはカフェインが含まれていて、強壮作用や疲労回復・ストレス解消などの効果があると言われ、健康食品などに加工利用されるようになりました。

ただし、人が摂る場合の有効性については信頼できるデータが見当たらないようです。
食品に含まれる程度の摂取はおそらく安全とされていますが、 過剰摂取は危険性が示唆されています。

おわりに

妻という立場からでしたが、男性の更年期障害について説明させていただきました。
あなたのお役に立つ情報はありましたでしょうか?

男性の更年期障害は認知が広まってから歴史が浅いです。
情報の少なさにここを訪れた方も多いのではないでしょうか?
男性の更年期障害で悩まれている方々はご本人様の他にも、 そのご家族もいらっしゃるのではないかと思われます。
私の言葉はたくさんあるなかの一意見でしかありませんが、 今現在も悩まれている方々のためのひとつの道筋になれればと存じております。

夫は自分が更年期障害だと認めたがらなかったです。
そのせいか、あらゆる方法を試そうとしましたが、 いまいち自分から積極的に動こうとはしませんでした。
どんな方法でも早めの行動が大事とは思ってはいますが、 外野があまりにも急かすのもよくないでしょう。
私だって、ほかの人からしつこく更年期障害だと指摘されたら嫌ですからね。

おひとりで悩まれているのであれば、お医者さんやご家族にや身近な人に相談してください
けれども、ご自身のプライドがあるがために男性の方は悩みを打ち明けにくいのかもしれません。
もっと、弱音をはいたらいいのにとは思いますが、そうもいかないのでしょうね。
でも、せっかくの一度きりの人生ですから、私だったら夫とともに心もからだも健やかに過ごしていきたいです
今は夫の症状がだいぶよくなってきているのがうれしいです。
それでは、またどこかでお会いしましょう。